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発達障害傾向の人への就職支援
発達障害という診断を受けていないけれども、発達障害の傾向があって、職場でうまくいかない、という方からのご相談が増えています。
ポンテではどのように就職・復職支援しているかについて、ご説明したいと思います。
ちょっと長くなりますが、おつきあいください。
どうして職場でうまくいかないのか?
就職前に、準備すべきことは?
1 なぜ仕事を続けることが難しいのか?
発達障害傾向のある方には、能力の高い方も多く、「この人なら仕事できるだろう」と判断されることは多いのです。
学生時代、周りから変わっている者と思われるふしはあっても、特別な教育が必要であるとまでは考えられなかった、というような人たち。
卒業後も一般の会社での就労が可能と考えられ、就職します。
しかし実際の仕事の場面では、困りごとを抱えてしまう、ということがよく起こってしまうのです。
どうして職場で困ったことになってしまうのでしょうか。
非常にシンプルな言い方をしますと、
「その場の状況にふさわしい行動」をすることが苦手、
ということが、職場でうまく行かない原因になっていることが多いのです。
まず第一に、
「その場の状況」を読むということが、不得意です。
そのために「空気が読めない人」と言われてしまったりします。
「自分に何が期待されているのか、うまく察する」ということができません。
次に、もし、その場の状況を理解できたとしても、こんどは
「その場にふさわしい行動」の手順を頭の中で組み立てる、
ということが不得意なのです。
ですから、
やるべきことが明確で、
はっきりと手順が示されている、
という状態になっていれば、
能力を発揮できることが多いのです。
しかし、そこまでしっかりお膳立てをしてくれる職場は少ないので、就労に難しさを抱えることになるのです。
※そもそも「この人にはお膳立てが必要なんだな」と気付いてもらえないことが多いのです。
2 支援の最初のアプローチ
私たちの事業所を頼って、相談に来てくださる方々は、ほとんどが仕事をした経験のある方です。職場でうまくいかなかったことで悩んで相談にいらっしゃいます。
「その場の状況にふさわしい行動」をすることが苦手であるために、学校や職場でいじめやパワハラに遭ったという方も少なくありません。
そういう体験のせいで、心が傷つき、自己肯定感が低くなってしまっている方も多いです。
うつ病を発症している場合もよくあります。(最初の困りごととしては、うつ病として現れて、よく話を聞いてみると、発達障害傾向がその元になっていた、ということも)
私たちPonteの支援の最初のアプローチは、まずそういう心理状態へのケアになります。
「自分だけに落ち度がある」と思いこんでいる場合には、考え方を変えてもらうのです。
まずご本人に認識していただきたいことは、「それぞれの人の個性というものは尊重されることが当たり前なのだ」ということです。
もし、その人が「変わり者」に見えたとしても、それは「特性」であり「個性」であって、それが理由でいじめられるとしたら、いじめるほうが間違っている。
「変わり者」である自分を肯定するところから始めよう、と私たちは言います。
「自分を好きでいられる」ということがとても大事なことだと思います。ポンテはそれを応援していくのです。
「自分自身を知り、自分の現状を受け容れる」という、この過程で苦悩している方はとても多いです。
保護者がずっと現状を受け容れられずにいる、という場合もよくあります。
「うちの子は一般扱いをされるべきで、特殊に見られることには耐えられない」と親が思っている。
「変わり者」である我が子を肯定できない、ということは、子の個性を否定していることになってしまうのです。
意図せずに、子の心を傷つけ、自己肯定感を低めてしまっていることがあります。
「自分の現状を受け容れる」ことが成功していくと、自己肯定の気持ちが高まり、傷ついた心が多少なりとも癒やされ、自己理解の適正化が行われて、つぎの段階へ進んでいく準備ができるのです。
情緒の安定があることで、その先がスムーズに行くのです。
3 「適応」がテーマ
企業で仕事をすることを目指していくわけですが、就労が成功するということは、
言い換えれば
「職場環境への適応が成功する」ということです。
「適応」がテーマなのです。
「職場適応」の前の段階として「社会に適応できているか」を確認しなければなりません。
この場合の「社会」というのは「世間」という言葉に近い意味合いです。
世間の人々がさまざまに活動している中で、「そのうちのどんな活動にも参加ができない」「人に合わせていくことができない」という人だったら、就労以前の問題ということになってしまいます。
「世間に合わせて、付き合っていくスキルを持っているか」がまず問われるわけですね。
人付き合いの過程で、かならず、自分と相手との利害の対立が起こるわけですから、そのときにうまく調整して生きていくことができるか、が問われます。
自分の都合ばかり優先して「世間に合わせていく」ということができない人が、会社に勤務して「職場環境に合わせていく」ということが出来るはずがないのです。
「そう言われると自信がないなあ」と最初は言う方も多いのですが、ポンテのような訓練施設に通っていくうちにみなさん必ずできるようになっていきますから、安心してください。
- 発達障害傾向のある人は、「その場の状況にふさわしい行動」をすることが苦手。
- そのために職場でうまくいかないことが多い。
- 「変わり者」と見られたとしても、そんな自分を肯定することが、まず大事。
- 自分を肯定した上で、外部環境への適応を目指す。